僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想
僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想

著者:荻上チキ
出版社:幻冬社新書

概要:(『はじめ』により)
 本書は、僕たちが生きているこの社会の姿を知るための教養書でもあり、僕たちが目指すべきこの社会の未来を語り合う思想書でもあります。
  本書のメッセージをひと言で要約すれば、「これからの社会には、あなたの<ポジ出し>が不可欠だ、ということです。
 <ポジ出し>とは僕の造語で、ポジティブな提案を出すことを意味します。
 他人の提案に対し、延々とダメ出しを加えるだけではなく、もっとこうしたほうがいいと提案し合う議論を加速させなくては、もうこの社会は持ちません。
 逆に、あなたの<ポジ出し>がうまくいけば、この社会はまだまだ前に進むことができるはずです。
 どうぞ本書をきっかけに、あなたなりの<ポジ出し>の姿を描いてみせてください。 



引用・コメント:
 一方で、消費税とは、「富める者からも、貧しい者からも等しい税率で召し上げる」といった側面を持った税金です。つまり、税の中でも、特に消費税には、貧しいほど重税感が増す「逆進性」の問題があるということです。
 こう考えれば、特に再分配のために増税が必要なのであれば、本来、より収入の多い人が多く支払う必要のある所得税(あるいは法人税や相続税)を、ひとまずはその財源とし、その後様々な税制を検討すべきなのではないかという議論が、日本でもっと高まらなければいけないというのは、ある程度自明な話ではないでしょうか。

荻上さんは、どちらかというと累進課税派なのかな?(消費税もいずれは上げる必要があるとは言っていますが)。ここら辺は小飼弾さんとは違うところなのかな、と。

 お金のうえでのバリアフリーというのは、「ノッチ(刻み目)をなくす」ということです。いまはいくら以下なら無料だとか、累進課税にしてもこれ以上はなん%というように数字の刻み目が多すぎます。税率は階段状ではなくリニア、なめらかな直線状にするべきです。
 いまの日本の税制は累進課税ということになってますけど、実際にはあまり累進しているとはいえません。なぜなら、国が集めているお金というのは税金として集められているお金よりも、社会保障の名目で集めているお金のほうが多いからです。給料から天引きされたりする社会保障費、健康保険や年金には累進性はありません。しかも、上限つきのフラットタックスです。みんなだまされています。
(『働かざるもの、飢えるべからず。 だれのものでもない社会で、だれもが自由に生きる――社会システム2.0 (サンガ新書) 』p195より)

うーん、もうちょっと詳しくというか、図でもグラフでも資料を提示してくれるとよかったんですけど。

と思ったら、あったでござる。

404 Blog Not Found:taxpayer - 四公六民、七老三若、九流一蓄 

国税:43.6兆円に対して、社会保障負担は59.7超円でござるか。んー知らなんだ・・・。


その他印象に残ったのは「くじ」の話ですね。

 この社会には、様々な「くじ」が用意されていて、何千分の1であろうと何万分の1であろうと、必ずそのくじを引いてしまう人がいます。
(中略)
  そういった「まさか自分が当事者になるとは思いもよらないような『くじ』も、一定数の人が必ずそのくじを「引かざるを得ない」ことがわかります。
 そしてこの問題は、いつ何時、あなたの身の回りにも降り掛かってくるかもしれない問題なのです。 

そうなんですよね。例えば生活保護の問題も、「働かないのに金をもらうなんてけしからん!」という人がいますが、そういう人は「自分はそのような、働きたくても働けない状況に陥ることはない」との『絶対的な自信』がおありなんですね?それはちょっと想像力の欠如かな、と。

こんなこと言うと、「いや、全部がダメといってるわけではなくて、不正受給だったり、生活保護でパチンコやったりしているのがダメ、と言ってるんだ」とおっしゃる方々がいるでしょうが、生活保護をもらえるかもらえないかなんて、行政が決めることなんで。我々が決めることですかね?我々毎日汗水足らして(薄給で)働いている一般市民は正義ですか。そーですかー(棒)。

まあとにかく、「くじへの社会全体での備え」は、「くじ」を引いてしまった人だけでなく、そうでない人々にもメリットがある、と。

 こう考えてみると、世の中には「困ってる人」と「困ってない人」の2種類の人がいるにすぎない、と捉えることができます。
 どんな「くじ」を自分が引いたとしても、あるいは「くじ」が誰に配布されたとしても、「広く万人にケアが用意されている社会」というのは、「弱者に対してのみ優しい社会」ではなく、「万人に寛容な社会」だということです。 

うん、寛容さは大切っすね。それがいまの日本の社会からは失われつつあるのかな、と。余裕がなくなってきてるのかなあ。

感想:
ポジ出しとはいえ、ただ単に「イイネ!」って言ってるだけじゃダメじゃないの?という疑問が湧いたのですが、そのような「スラックティビズム」とどう向き合えばよいのかにも言及してくれています。 
ただ、結局「ポジ出しってなによ?」となると、冒頭に説明はなされているのですが、具体的によくわからんな、と。まあそれは各自が見つけていけばよい話なんですけどね。
けどそうなると、勘違いした人たちの、当たり障りのない「イイネ!」が横行することにもなり・・・(以下ループ) 


僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想


目次:
はじめに
第一章 僕らはどうして、「ここ」に流れ着いたのか
第二章 僕らはどうして、間違えた議論をするのか
第三章 僕らはどうして、「国民益」を満たせないのか
第四章 僕らはどうやって、バグを取り除くのか
第五章 僕らはどうやって、社会を変えていくのか