書評なんかあきらめろ 〜感想文が書けません〜

書籍の書評・要約をなんとかやってみようというブログです

2014年08月

論理的に説明する技術を鍛える



ざっくりいうと
  • 考えていることを何も加工せずに、そのまま言葉にしてしまうと、論理的な説明ができない
  • 論理的であるには、その語と語の関係性に敏感になり、接続詞を強く意識する
  • 根拠を「経験的事実」として提示することが大事

どうして論理的に説明できないのか

  1. 考えていることを何も加工せずに、そのまま言葉にしてしまう
  2. 主張を言いっ放しで終わること
  3. 論証において重要な条件や前提などが、暗黙の了解として隠されていること


論理とはなにか

  • 論理とは、語と語の関係性のこと
  • 論理的であるには、その語と語の関係性に敏感になっていく、それをていねいにつなぎ、追いかけていくという心構えが何より重要
  • 接続詞を強く意識することは、論理的であることの助けになる


論証とはなにか

  • 「なんらかの理由」が示されていて、その理由をもとに「何らかの結論(または主張)」が出されていれば、それは論証と呼べる
  • 論証の一般的な形式ー>「根拠、だから、結論」
  • より受け入れられやすい主張を根拠にする
  • より受け入れられやすい根拠とは、「経験的事実」
  • 根拠を経験的事実として提示することが大事

 

論証のホップ・ステップ・ジャンプ

  • ホップ
    • 第1段階の論証 飛躍の小さい丁寧な論証で、まずは最初の結論を相手にわかってもらう
  • ステップ
    • 第2段階の論証 第1段階の結論を根拠にして、第2段階の結論を相手にわかってもらう
  • ジャンプ
    • 第3段階の論証 第2段階の結論を根拠にして、第3段階の結論を相手にわかってもらう


帰納的論証と演繹的論証の違い

  • 「帰納」ー>多くの根拠から、それらには含まれない結論を導き出すこと
  • 「演繹」ー>前提として挙げる根拠から、その中に含まれる結論を抽出すること


論理的な質疑応答の方法

  • 質疑応答に関する6つのスキル
  1. 前置きをせず、質問は簡潔にする
  2. まず相手の発言の中心に触れ、次にその発言について返答する
  3. 相手への質問と自分の主張を同時にしない、質問は論証形式にしない
  4. 相手に対する自分の質問内容を覚えておき、その質問に相手が答えているかどうかをそのつど確認する
  5. 自分は相手の意見に賛成なのか、反対なのか、異論を唱えるのかを明確にする
  6. 自分の質問は実態調査タイプか、仮説検証タイプかを知る



問いのブレイクダウン

  • 問いのブレイクダウンとは - 大きな問題から個別の問題へ分解していく作業
    1. セルフ・ディベート法(自分自身を相手にして仮想議論を展開する方法)
    2. 自分の主張の背景を検討する
    3. 相手の主張の背景を検討する
    4. 問いのブレイクダウン・ネットワークを作成する
    5. 問いのブレイクダウン・ネットワークに答える
  • 対話がうまくいかない理由と対処
    1. 互いの主張がぶつかり合う
      • 「自分の主張は、常にある条件のうちにおいてのみ有効である」とする態度を持つことが大切
    2. 互いの根拠がぶつかり合う
      • a.経験的事実として即、認められるもの
      • b.根拠として用いるには、それに対応すると考えられる経験的事実を探し、その結果、初めて根拠と呼べるもの
      • c.根拠としては使えない、経験的事実と対応していないもの
        ※aを使うのがもっともよい
    3. 互いの論拠がぶつかり合う
    4. 双方の言葉の使い方がすれ違う 


  • 前回の記事
    で紹介した「思考」を育てる100の講義 にもあるように、表現とは「他者を説得する行為」であり、感情的になって観察を遮断し、ただ相手を打ち負かしてやろう、というものではないのです。
     

    そのためには論理的に説明できるようにならないといけない。
    そしてはじめて、自分の発言は「意見」や「主張」になるのだと思います。
     


    目次

    第1章 どうして論理的に説明できないのか

    第2章 論理とはなにか
    第3章 論証とはなにか
    第4章 帰納的論証と演繹的論証の違い
    第5章 論理的な質疑応答
    第6章 問いのブレイクダウン
    第7章 「やっぱり」考
    第8章 うまくいかない対話の対処 

     

    森博嗣 「思考」を育てる100の講義…悪くないですね…フフ…

    タイトルはホッテントリメーカーで作ったんですけども、ハイ。


    内容をざっくりいうと



    例えば

    自分の人生を超えた時間を見通して生きる

    • 「いつ死んでもよい覚悟」とか「いつまでも生きる希望を持とう」というのとは違う。

    • 覚悟とか希望みたいな気持ちの問題ではなく、自分の行動として、どこで中途半端になっても良いようにしておくこと。

    • 明日死ぬと考え、同時にいつまでも生きられると考える。そういう想像が人間ならばできるはず。


    「面白いものには理由がある」というのは古い

    • 今や、理由のないものが新しい

    • 面白いものに理由があると考えていることが、そもそも面白くないものしか作れない理由だ。面白いものは、面白いものを発想すれば良い。

    • 理由を設定して作ろうとしても、無難な「受けそうな」媚びた作品になるだけ。


    感情による「観察の遮断」が、判断を謝らせる

    • 感情になって判断を間違えるというよりも、感情的になって観察をしなくなる、という問題のほうが大きい。
    • 損得を判断するための情報が、感情的になっているときちんと入ってこない。


    表現とは、他者を説得する行為である

    • 日本人の多くは、自分の立場、自分の意見というものに、客観的な論理を用いたバックアップを持っていないので、ただ好きだ嫌いだ、が自己表現だと勘違いしている。「表現」とは、他者を説得する行為である。



    その他、良いと思った箇所をざっくりいうと


    人生は競争だ。それは、主に自分と戦う、という意味である。

    • ゴールインしたランナ(森氏はこう表記する)は、どんなに苦しくてもまた走ろうとする。一番でなくても笑顔になる。走らないものには絶対わからない。
    • 子どものときに準備をして、いつの間にか社会に飛び込む。とにかく泳ぐしかない。そしてなんの競技だったのかは、死んだときにぼんやりとわかる。


    歩きはじめる前が、一番疲れている。

    • 嫌々でも、作業をスタートすると、結構集中してやれる。やらないよりは、やったほうがよい。
    • 「(〜し)やすい」ものへと流れることは一種の「退化」


    「くよくよしないで頑張ろう」というのは消極的な姿勢である。

    • 失敗や敗北を恐れ、あるいは棚に上げ、「自分を信じて」「自分らしく」などと、手も打たず、改善もせず、今まで通りにまた同じようにやっていこうとするなら、それは明らかに「逃避」であって、後ろ向きだということになる。

    • 気にしても仕方ないことなのか、気にしなければならないことなのか、をしっかりと判断すべき。


    「はっきりしているやつは馬鹿だ」

    • 人間の「深み」という言葉が示す通り、魅力のある人、尊敬に値する人、凄い人というのは、計り知れない。
    • 物事を簡単に断定しない慎重さこそ「深さ」であって、意見を絶対に変えない頑固さが「浅さ」になる。


    感情的になるな、というのではなく、感情で観察を遮断するな

    原発も嫌い、消費税も嫌い、官僚も嫌い、民主党も嫌い、という理由が意見になっている。意見というのは、好き嫌いを述べるものではないのに、そうなってしまっている。

    • 情報を求める側は、もう少し冷静になって、理解をしたいのだという態度を示すべき。反論してやる、打ちのめしてやるでは続かない。


    子どもは自由ではない。自由を目指して大人になる

    • 大人はただ、金銭的にバックアップし、ニュートラルな知識を与え、彼らの生命を守ることが役目。



    ここは「う〜ん」となった箇所

    ネット社会になって、情報の伝達が速く広くなったのだから、ちょっとしたことで炎上したり、パニックになったり、という過敏性が懸念されたけど、むしろ逆で、昔よりも、大衆は動きにくくなった。どの情報を信じていいかわからないし、それよりも、もっと細かい自分に興味のある情報を気にしている。それは実に平和なことだと思う。マスコミが煽るようなものに多くの人間が左右されるのは、成熟してない社会であって、日本はもうそうではない。


    うーんこれは・・・ネットでの(ネット発の)炎上とかパニックは今でもあるし、どの情報を信じていいかわからない、だからこそ「自分の見たい物だけを見る」、それこそ感情による「観察の遮断」をしてしまうんでないかなと。

    マスコミの煽りとそれに流された意見や主張なんていくらでもあるし・・・逆に「マスゴミの言ってることは全部嘘! 自分は真実を知っているぜ!」という鼻息荒い精力旺盛な方々もいらっしゃいます。
    「昔と比べて」幾分はマシになっている、とおっしゃているのかもしれませんが。

     



    その他「ここ太字」

    • 失敗をした時「また失敗をした時」のための対策を講じるのも、また大切なこと。石橋を叩いて渡るというが、石橋が崩れたときにどうするのか、を考えておく。

    • 貪欲に感じようという心を持っていることが感受性の豊かさだ。

    • 経験というものは、生きていれば常に連続的にしているものであり、良い経験も悪い経験もなく、すべてがその人の一回きりの道、つまり人生なのだ。

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